手背屈と四つ這いの関係

肩を直しても、また前へ流れる

四つ這いで前方へロッキングしてもらうと、肩が前へ流れ、肘が外へ逃げる。肩の位置を修正して、肘の向きも整える。でも、もう一度動いてもらうと同じ崩れが出る。こういう場面、ありませんか。

目の前で大きく動いているのは肩と肘です。だから、肩甲帯や上腕から評価したくなるのは自然なんですよ。そこを見たことが間違いなのではありません。

ただ、手掌が床に固定される閉鎖性課題では、肩と肘に出ている崩れでも、評価の入口が肩や肘とは限らないんです。

一度、手関節背屈の条件を変えて、同じ四つ這いを再テストしてみます。背屈需要を下げたときに、手掌だけでなく肘と肩まで一緒に変わるのか。ここを比べると、末端の条件が上流の配置に関わっているかを検証できます。

座位で手関節を反らせたときの左右差だけでは、荷重した瞬間の問題が見えないことがあります。ですから、非荷重の背屈を測って終わりではなく、その所見を四つ這いへ持ち込んで確かめるって話なんですね。

座位で左右差が小さくても、四つ這いでは崩れる

座位で自動背屈を見たとき、左右差はそれほど大きくない。これなら手関節は大丈夫そうだと判断したくなりますよね。

ところが四つ這いになった途端、片側の手掌基部が浮く。その直後に肘が外反し、肩が前へ流れる。非荷重では隠れていた制限が、手掌を固定した荷重課題で代償として現れている状態です。

非荷重ROMの左右差が小さいことは、荷重時の手関節の問題を否定しないんですよ。

四つ這いでは、背屈角度だけを見ているわけではありません。手掌のどこへ圧が集まるのか。手掌基部が浮かずに接地を保てるのか。そこから肘と肩がどこへ逃げるのか。これらが同じ動作の中で出てきます。

カルテには「座位の自動背屈は左右差が小さい」で止めず、「四つ這い手掌荷重で手掌基部が浮き、肘外反と肩前方移動が出現」と続けて残しておきたいですね。BeforeとAfterを同じ課題で記録しておくと、非荷重の結果と実際のプッシュ動作が切れずにつながります。

背屈角度があっても、床を押せるとは限らない

床を押すときは、手掌を接地したまま前腕が手の上へ進みます。その土台になるのが手関節背屈です。ここを共有しておくと、細かな角度の話だけに閉じず、「なぜこの配置になるのか」を追いやすくなります。

ただし、背屈が出ることと、背屈位で荷重を受けられることは同じではありません。

確認したいのは、手関節背屈の角度だけではないんですね。手掌全体で荷重を受けられるか。荷重したときに痛みが出ないか。前腕を手掌上へ運べるか。床反力を上流へ渡せるか。これらを分けて見ます。

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