今回のテーマは「上肢の絞扼性神経障害に対する治療戦略」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今回は「上肢の絞扼性神経障害」についてです。
頚椎症性神経根症では頚椎部の病変によって症状が出現しますが、胸郭や前腕部の状態によって神経症状がより慢性化してしまいます。臨床的にはよく観察されることもありますが、どのように治療展開すればいいのかを考えていかないと神経症状が軽減することはないかなと思います。
ダブルクラッシュシンドロームと絞扼性神経障害を理解して治療展開することで長期化しやすい症状を軽減させる糸口を見つけていきましょう。
ということで上肢の絞扼性神経障害の理解を深めていきましょう!
では始めていきます!
頚椎症性神経根症の病態
頚椎症性神経根症の病態について触れていきます。
椎間孔に生じた神経根への圧迫病変により疼痛・運動障害・知覚障害をきたした状態であり、頚椎伸展と回旋が加わると症状が発生しやすくなります。
症状として頚部痛と背部痛の軸症状と上肢痛と痺れといった根症状に分類されます。
症状としては頚部周囲の疼痛だけではなく、神経根の障害で肩甲骨周囲に疼痛が発生します。
ここで疼痛における評価の判別をすることができます。どこに症状があるのかを評価で確実に聞くようにしておきましょう。
障害神経根の目安
頚椎症性神経根症ではレントゲンやMRIによって障害神経根を見つけることができます。臨床の症状においてもある程度の目安を見つけることができます。
頚部痛・上肢の疼痛・痺れと知覚障害の症状から障害神経根を推察することができます。
圧迫による神経障害
神経障害の要因としては大きく3つあります。
圧迫・滑走不全・牽引にそれぞれ分けてみます。
頚椎が伸展と回旋することで椎間孔が狭くなり、末梢神経への圧迫が生じます。
神経への圧迫が生じると局所的な虚血が生じて、酸素と栄養の循環障害が発生します。結果的に末梢神経障害で炎症と浮腫などの影響で症状が悪化します。
ダブルクラッシュシンドローム
頚椎症性神経根症のように神経根由来で症状が発生することもありますが、末梢神経が絞扼されて症状を発生させることがあります。
末梢神経の経路に沿った2カ所以上の場所での明確な圧迫により神経症状が誘発されるというダブルクラッシュシンドロームという病態があります。神経根の圧迫に加えて胸郭や前腕といった末梢神経レベルの絞扼で痺れや疼痛が生じます。
臨床的な考え方としては例えば神経根の要因が7割、末梢神経障害の要因が3割というように考えておくといいかもしれません。
絞扼性神経障害
絞扼性神経障害というのは、末梢神経幹が靭帯や筋起始部などのトンネルを通る際に機械的刺激を受けて限局的な神経障害が起きる病態です。
特徴としては
・軽症を含めると罹患率は高い
・感覚障害・痺れ・疼痛が主な症状
運動麻痺はまれ
・MRIなどの画像所見は有用ではない
画像所見では確認することができないため、症状の増減によって効果判定することができます。
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