ショートフットexの効果

足関節捻挫のリハビリ、バランスボードだけで満足してませんか? Short Foot Exerciseの本当のすごさ

皆さん、足関節捻挫はスポーツ現場で最も多い外傷の一つですよね。そして、その多くが慢性足関節不安定症(CAI)に移行してしまうことも、臨床ではよく経験すると思います 。CAIは再発を繰り返し、パフォーマンスを低下させる本当に厄介な問題です。

このCAIのリハビリというと、バランスボードなどを使った固有受容性感覚エクササイズ(PSE)が一般的ですが、近年「Foot Core System」という新しい考え方が注目されています。これは、足の裏にある小さな筋肉たち(足部内在筋)を、体幹のコアと同じように「足のコア」として捉える考え方です 。

そして、この「Foot Core」を鍛える代表的なエクササイズが「Short Foot Exercise(SFE)」です。これまでもSFEがアーチを改善させることは知られていましたが、「神経感覚機能」にまでどう影響するのか、そして伝統的なバランストレーニングと比べてどうなのかは、あまり分かっていませんでした。

今回は、この疑問に明確な答えを示してくれた画期的な研究を基に、SFEがなぜCAIのリハビリの新たな鍵となるのかを、僕の臨床での考え方も交えながら解説していきます!


研究のデザイン:Short Foot Exercise vs. 伝統的なバランストレーニング

Short-Foot Exercise Promotes Quantitative Somatosensory Function in Ankle Instability: A Randomized Controlled Trial - PubMed BACKGROUND Ankle sprain reduces capacity for neurosensory inf pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この研究では、CAIの患者さん30名を2つのグループに分け、週3回、8週間の介入効果を比較しました 。

  • SFE群 (Short-Foot Exercise group): 足部内在筋を選択的に鍛えるSFEを実施しました。

  • PSE群 (Proprioceptive Sensory Exercise group): バランスパッドやバランスボードを使った、いわゆる伝統的なバランストレーニングです 。

この研究の面白いところは、SFEの進め方にもちゃんと段階付けがあることです。最初の4週間は座位で、後半4週間は立位(片脚立位)で行っていますよね 。これって、僕がいつも言っている

段階的な運動療法の展開そのものです 。

まずは

OKC(非荷重)に近い形で足部内在筋を単独で活性化させる練習をして(認知段階)、それができるようになったら、立位、つまりCKC(荷重)でより機能的に、そして無意識に使えるようにしていく(連合・自動化段階)。この流れが、運動学習の観点からも非常に理にかなっているんです 。


結果:SFEが神経感覚機能とバランスを有意に改善

8週間後、結果はSFE群の圧勝でした。

両方のグループで改善は見られたものの、

関節の位置覚、振動覚、動的バランス、そして患者さん自身が感じる不安定感の全てにおいて、SFE群の方が伝統的なバランストレーニング(PSE群)よりも有意に大きな改善を示したんです 。

つまり、SFEはただアーチを持ち上げるだけのエクササイズではなく、足のセンサーを鋭敏にし、バランス能力を高め、患者さん自身の不安感までをも軽減させる、非常に効果的なアプローチだということが証明されたわけです。


なぜSFEは神経感覚機能を向上させるのか?

では、なぜ足の裏の小さな筋肉を鍛えるSFEが、これほどまでに優れた効果をもたらしたのでしょうか。

メカノレセプターの活性化: SFEは、足底にある感覚センサー(メカノレセプター)を直接刺激します 。足の裏の小さな筋肉を意識的に収縮させることで、脳に送られる感覚情報の質と量が向上し、これが動的な姿勢制御の改善につながったと考えられます。

足部アライメントの最適化: CAIの患者さんは代償的に足部が回内しやすいですが、SFEで内側縦アーチを挙上させることでアライメントが改善し、神経への機械的ストレスが軽減した可能性も指摘されています 。

Foot CoreとProximal Coreの連携: そして、ここがめちゃくちゃ重要なんですが、足部の安定性、つまり「Foot Core」がしっかりすると、その上の体幹、つまり「Proximal Core」まで安定してくるんです 。足部から体幹へという神経筋の連携が改善され、全身の姿勢制御戦略が向上したと考えられます。


結論として

この研究は、慢性足関節不安定症(CAI)のリハビリにおいて、Short Foot Exercise(SFE)が、単なる筋力強化エクササイズではなく、神経感覚機能を再教育するための極めて有効な手段であることを示しました。

僕たちセラピストは、CAIの患者さんに対し、従来のバランストレーニングに加えて、あるいはその中心的なエクササイズとして、SFEを積極的に処方すべきです。

そして、その際には段階的な展開を意識してください。まずは座位で、OKCに近い形で足部内在筋の収縮をしっかり認知させます。これができたら初めて、立位というCKCの状況下で、バランス制御や歩行といったより機能的な動きに統合していく。この丁寧な段階付けこそが、運動学習を促し、治療効果を最大化する鍵になります。

このアプローチは、CAIの根源的な病態である感覚運動制御の障害に直接働きかけることで、再発予防と完全な機能回復への道を切り開く、新たなゴールドスタンダードとなる可能性を秘めていると言えるでしょう。

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