
はじめに
長座位前屈で手が床に届かない。太ももの裏が突っ張る。こういう場面を見ると、かなりの確率で「ハムが硬いですね」という話になります。もちろん、ハムストリングスそのものの短縮や伸張性低下はあります。そこは否定しません。ただ臨床では、ハムだけを犯人にすると、ちょっと話が雑になることがあります。

特に見落としやすいのが、骨盤後傾です。骨盤が後ろに丸まった状態で前屈していると、股関節屈曲の可動域を使い切れません。その不足分を腰椎屈曲で稼ぎ、結果として坐骨結節周囲やハムストリングスに「張っている感じ」が強く出ます。つまり、見えているのはハムの硬さでも、背景には骨盤運動、股関節屈曲、腰椎代償が絡んでいる。ここを分けて見ないと、ストレッチしてもすぐ戻る、という流れになりやすいです。
この記事では、ハムストリングス過緊張を「筋が硬いかどうか」だけでなく、「骨盤と股関節がどう動いているか」から整理します。医学用語は使いますが、現場で使いやすいように少し噛み砕いていきます。
ハムが硬い、の前に骨盤を見る

長座位前屈で背中が丸まり、骨盤が後傾している人を見たとき、まず確認したいのは前屈距離ではありません。見るべきは、骨盤前傾、股関節屈曲、腰椎屈曲の分担です。