今回のテーマは「基礎から学ぶ変形性膝関節症-運動療法の根拠を理解する-になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・膝OAの症状を理解できる
・運動療法exの根拠を把握して実践できる
・膝OAの病態を理解できる
・特徴的な姿勢を理解できる

今日は「変形性膝関節症」について共有していきます。

変形性膝関節症は、多くの患者が悩まれている整形外科疾患であると思います。そのため膝OAに対して、運動療法の効果が十分に効果があることも報告されています。

しかし、なぜそのエクササイズを行うことが良いのか?

この辺りの根拠や考え方を持って、運動療法を展開していくことがポイントであると考えます。

では始めていきます!


実施する運動療法ex

変形性膝関節症に対する運動療法は、疼痛軽減や機能改善などの効果が報告されています。そのため、運動療法が推奨されています。

特に実施されている、実施している運動療法exは…

パテラセッティング
股関節外転ex

が挙げられると思います。
他にも有酸素運動などもありますが、今回はこの2つについてピックアップしていきます。

なぜパテラセッティングを行うのか

大腿四頭筋の中でも特に内側広筋を狙ったエクササイズとして、パテラセッティングがあります。このエクササイズは、変形性膝関節症患者だけではなく、膝関節に腫脹がある患者に行うことが非常に多いです。

ではなぜこのエクササイズを行うのか?この理由を考えてみてください。シンプルに考えていけば膝関節伸展制限があり、最終域でエクステンションラグが生じる場合にも実施する理由になると考えれます。

ここをしっかりを整理しておくことで根拠を持ってエクササイズを実施することができます。

そしてもう一つのエクササイズについてみていきましょう。

なぜ股関節外転exを行うのか?

側臥位における股関節外転運動は、中殿筋を中心とした股関節外転筋エクササイズであり、高齢者でも実施できることと負荷量も高く設定することができます。

では、このエクササイズを行う理由を考えていきましょう。なぜ股関節外転エクササイズを行う必要があるのか?

これらの2つのエクササイズを最後の方が解説していきますので、ぜひ最後までみてください。

ここからは膝OAの基本的な知識を共有していきましょう。

膝OAの基礎基本

症状

膝OAの基本的な症状としては、疼痛・こわばり・関節運動の低下・筋力低下などが挙げられます。他にも多くの症状があります。

特に膝OAは、生活面への影響が強く生じます。変形のグレードが高くなれば、歩行障害や活動量減少などといった障害が起きてしまいます。

膝OAと聞くと内側型の場合は、関節裂隙部の疼痛をイメージするセラピストも多いと思います。しかし、中には鵞足部に疼痛を訴える方もいれば、膝蓋骨上方に疼痛を訴える方もいます。そのため、疾患のみにとらわれず、身体所見をしっかりと把握しておくことが重要です。

このように、膝OAの進行予防に対するリハビリの考え方や基本的な病態の理解を深めていくことが今回の内容です。

病態の考え方

退行変性疾患である膝OAは、病態に対する考え方がさまざま存在します。その中でも筋力低下の部分について触れていきます。

加齢に伴って筋力は20歳代をピークに減少していきます。そして筋力低下から関節動揺性が増加して膝関節へのメカニカルストレスを増やす事につながります。

機械的刺激が増えることで、膝OAの進行が生じて軟骨の摩耗なども起きてしまいます。ストレスが多い、より負荷が高ければ関節水腫や疼痛が起きることもしばしばあると考えます。

次第に変形が進み、可動域低下やさらなる筋力低下につながり、姿勢や動作が学習されていきます。

これは一つの病態モデルにすぎませんが、考え方として、ある一つの事柄が多くの因子とつながっていると考えるのが重要です。

もう少し詳しく病態を見ていくと…

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変形性膝関節症には下記のように言われています。

・KAMが増加すると膝OAの進行リスクも増加する
・膝OAは膝関節伸展筋力が低下している
・膝OAは股関節外転筋力が低下している

KAM(外部膝関節内転モーメント)については以前の記事にご確認ください。ここでは筋力低下を深堀りしていきます。

健常者と比較して膝OA患者は、膝関節伸展筋力と股関節外転筋力が低下していると言われていますが、これを聞くだけでも先ほどのパテラセッティングや股関節外転運動を行う理由になると思います。

しかし、これだけの理由では少しばかり弱い気もします。

内側広筋や大腿四頭筋にフォーカスしてみると、

大腿四頭筋の変性

膝OA患者の大腿四頭筋の筋内脂肪率が増加していると報告されていて、筋肉量の低下だけではなく、質の低下も生じています。

腰部疾患患者の多裂筋は脂肪変性していると腰部疾患にも同じようなことが報告されています。

筋萎縮

他には腫脹による影響です。

膝OAには腫脹が生じていることが多く、腫脹による反射性萎縮が内側広筋に生じやすいとされています。

他の中間広筋や外側広筋、大腿直筋にも少しの影響がありますが、内側広筋が大きく影響します。

そのため腫脹を改善させていく、メカニカルストレスを減らしていくという方法が内側広筋の筋力低下を防ぐ事につながります。

内側広筋

また膝OA患者の変形グレードが高い、重症度が高い場合は内側広筋の活性化が低くなるとされています。

内側広筋は膝蓋骨の内方の安定性に寄与していて、膝蓋骨が外側に牽引されないように活動しています。

関節位置覚

ここが意外と盲点になりやすいですが、膝OAでは固有感覚の低下が生じていると報告されています。

加齢とともに関節位置覚は低下するとされていますが、健常者と比較するとさらに低下している事になります。

特徴的な姿勢

最後は、膝OAに特徴的な姿勢アライメントです。全症例がこのようなアライメントになっているわけではないですが、一つのモデルとして捉えてください。

腰椎前弯減少
骨盤後傾位
股関節屈曲・外転・外旋位
膝関節伸展制限
下腿外旋位
扁平足

この場合にパテラセッティングや股関節外転エクササイズがどれほど他の姿勢アライメントに影響するのかわかりませんが、全体像を把握しておかないと単発のエクササイズで終わってしまいます。

もし膝関節伸展制限の要因が骨盤後傾にある場合は、骨盤後傾を修正するエクササイズを追加して実施していけば良いと思います。このように順に展開していきましょう。

運動療法エクササイズの根拠

では本題の運動療法エクササイズの根拠に入っていきます。

パテラセッティングを行う理由

パテラセッティングを行う理由の一つに、膝関節完全伸展位を作り出すというのがあります。膝関節完全伸展位であれば、膝関節への動揺が生じにくく、膝関節へのメカニカルストレスは最小限になります。

また歩行時の踵接地で内側広筋の予測的な制御が必要になるとされていて、特にラテラルスラストが生じないように対応しなければいけません。

内側広筋の筋力低下

膝関節軽度屈曲位

靭帯制御ができないため
膝関節不安定性(+)

ラテラルスラストが起きる

ストレス(+)

また腫脹を減らす事にもつながるため、内側広筋の選択的な収縮が重要になります。

股関節外転を行う理由

最後は股関節外転筋力エクササイズです。

股関節外転筋力が大きいと膝OAの進行を防ぐとされています。ここの理解はKAMの理解を深める必要があります。

KAMとは外部膝関節内転モーメントといって膝関節を内反させる力が生じます。このモーメントの力が大きいと進行するとされています。

股関節外転筋力が低下していると、骨盤を正中位に保持することができずに外側Swayしてしまいます。そうするとKAMが発生してしまいます。

骨盤を正中位に保持できることがポイントです。

外転筋力低下

骨盤正中位保持できない

トレンデレンブルグ歩行

膝関節内側荷重増加

ストレス(+)

外転筋エクササイズもOKCだけではなくCKCも必要になります。

今回の流れとしては、

・なぜパテラセッティングを行うのか
・なぜ股関節外転エクササイズを行うのか

これらに関して共有していきました。

ここまでご覧いただきありがとうございました。