膝の運動連鎖の要因はどこ?

運動連鎖で、痛みの元栓を取りに行く

膝痛の患者さんを評価するとき、多くの場合、最初に膝関節そのものへ目が向きます。

膝の屈曲・伸展可動域を測る。内側・外側の圧痛を確認する。四頭筋の出力を見る。膝蓋骨の動きや半月板由来の所見を拾う。

もちろん、これらは必要な評価です。膝に痛みがある以上、膝局所を見なくていいわけではありません。

ただし、そこで原因を確定してしまうと、元栓を取り逃がすことがあります。

たとえば、ジャンパー膝として治療して痛みが落ち着いたのに、数か月後にオスグッド様の痛みが出る。次は鵞足部が痛む。さらに別の時期には半月板周囲の違和感を訴える。

このように「痛む組織が移っていく」ケースでは、膝局所だけを追いかけても根本には届きません。

痛みの場所は膝でも、膝はあくまで中継点です。股関節から降りてくる荷重、足部から上がってくる床反力、その間で膝が負担を引き受けている可能性があります。

この記事では、運動連鎖として捉え直し、明日の臨床で見る順番と介入の組み立て方を整理します。

膝だけを見ていると、痛む組織が移っていく

膝痛を見るときに避けたいのは、「痛い場所=原因」と決めてしまうことです。

膝蓋腱が痛いから膝蓋腱の問題。鵞足が痛いから鵞足の問題。内側関節裂隙が痛いから半月板の問題。

局所所見としては正しいかもしれません。しかし、それは「どの組織が症状を出しているか」であって、「なぜその組織に負担が集まったのか」までは説明していません。

同じ膝痛でも、入口はさまざまです。

股関節の制御が崩れて大腿骨が内旋・内転に流れる。足部の接地が不安定で床反力の受け方が乱れる。体幹・骨盤の保持が弱く、片脚支持で骨盤が落ちる。

このような運動連鎖の乱れがあると、結果として膝のどこかに負荷が集中します。

そのとき、どの組織が先に痛むかは、患者さんの競技、年齢、既往、組織耐性、負荷量によって変わります。だから痛む場所だけを追うと、症状が落ち着くたびに別の組織が痛み始めることがあります。

膝痛を診るときは、膝局所の評価をしながらも、常にこう問い直す必要があります。

「この膝に負担を集めている元栓は、膝の上にあるのか、下にあるのか」

静的アライメントは原因ではなく、結果として見る

膝関節の評価では、O脚やX脚、膝蓋骨の向き、下腿の捻れなど、静的アライメントが目に入ります。

特にO脚傾向のある膝OAでは、「この内反をどう直すか」と考えたくなります。

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