今回のテーマは「広背筋の伸張性改善&抑制-なぜ硬さが生じるのか-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・広背筋の解剖と機能を把握できる
・なぜ硬さが生じるのかを考える事ができる
・体幹への運動療法に応用できる

今回は「広背筋」について共有していきます。

肩関節挙上制限や腰椎の過剰伸展などの要因になるのが広背筋です。広背筋を臨床的に考えていくと筋力向上を目指していくよりかは、【伸張性改善】や【過剰な活動を抑制する】といった視点が基本的です。

広背筋は多くの部位に付着しているため、伸張性低下による影響は全身に及びますし、その結果腰痛や肩関節痛を引き起こす要因になります。

筋力トレーニングでラットプルダウンやローイングのような動作を行うことで脊柱起立筋や広背筋などの筋肥大・筋力向上を狙う事ができます。しかし、広背筋が硬くなる事でどのような影響が生じるのかを把握できていますか?

活性化を念頭に置きすぎると臨床における視野が狭くなってしまい、広背筋への治療展開が悩んでしまいますし、疼痛の軽減や症状の改善が図れないことが増えてしまいます。

解剖学や機能を踏まえて、なぜ硬さが生じて、どのように治療展開をしていくのかを共有していきます!

では始めていきます!


広背筋の解剖

広背筋は最終的に上腕骨小結節稜に付着する大きな筋肉であり、さまざまな部位に起始を持っています。

非常に面積自体も大きく、体幹部は胸腰筋膜とつながっています。胸腰筋膜は2層もしくは3層であり、広背筋だけではなく大殿筋や内腹斜筋と腹横筋と連結しています。

多くの筋肉と連結していて全身の部位に付着するため、伸張性低下の影響力は全身に及びます。

上腕骨小結節稜
肩甲骨下角
胸椎
下位肋骨
胸腰筋膜
腸骨稜

広背筋の伸張性低下の影響は、肩関節屈曲制限や腰椎の過剰伸展、骨盤の過剰な前傾などが考えられます。

高齢者のように多くの関節可動域制限や異常姿勢アライメントがある時は、広背筋の影響も受けている事が多いです。

ここからは広背筋の機能を頭に入れて、本題の【なぜ】に触れていきます。

広背筋の機能

広背筋の機能
肩関節伸展・内転・内旋

広背筋はモーメントアームが長い筋肉であり、グローバルモビライザーでもあります。

筋肉にはローカルとグローバルのような分類方法とモビライザーとスタビライザーの分類があります。

モビライザー
・動かす筋肉
・力やパワー発揮を得意としている
スタビライザー
・安定作用がある
・姿勢保持や抗重力を得意としている

これらの違いがあり、ローカルとグローバルを組み合わせます。

広背筋は大きな筋肉(グローバル)であり、四肢や体幹を動かす(モビライザー)筋肉でもあります。

動かす筋肉のため、過剰な使用や異常姿勢アライメントの影響で広背筋の伸張性低下が生じてしまいます。

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