今回のテーマは「変形性股関節症と脊柱可動性の関連性:運動療法の視点から」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・変形性股関節症の病態理解ができる
・殿筋exの重要性が把握できる
・脊柱可動性がどれだけ重要かわかる
・新たなエクササイズプログラムを構築できる

今回の記事は『変形性股関節症と脊柱可動性』についてです。

変形性股関節症は高齢者に多く見られる疾患で、股関節の痛みや運動制限を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。

変形性股関節症における治療法として、股関節外転筋や伸展エクササイズは非常に重要です。実際、多くのセラピストが中殿筋や大殿筋を中心に治療を展開していますが、それだけに留まってしまうケースも少なくありません。

なぜ脊柱可動性に着目するのか?

股関節外転筋へのエクササイズの他にもやるべきことがあります。股関節の変形の影響は脊柱にも及びます。

と言うことで脊柱可動性について理解を深めていきましょう。

では始めていきます!


股関節OAのリハビリって…

変形性股関節症へのリハビリって必ずと言っていいほど、殿筋exがマストになっています。そうした時に側臥位で実施すればいいのか、背臥位なのか、立位なのかと疼痛や筋力などの身体的状況に合わせて運動療法を展開しているはずです。

まず前提として

なぜ変形性股関節症に対して殿筋exを行うのか?この理由を明確にしておくことが重要です。運動療法を展開していて、目的が分からずに展開しているセラピストはいないと思いますが、ここで明確にしておきましょう。

殿筋exの目的

変形性股関節症患者は股関節伸展/外転筋の筋力低下が起きていると報告されています。

伸展・外転筋が筋力低下していることで起きうることは歩行時の骨盤・股関節安定性の低下です。

股関節伸展・外転筋をイメージすると該当する筋肉は、大殿筋・中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋・ハムストリングなどです。この中でも必要になるのは、大殿筋・中殿筋・小殿筋の股関節を安定させるローカル筋です。

これらが機能不全になることでトレンデレンブルグ徴候やデュシャンヌ歩行のようになります。結果的に前額面モーメントの負担が大きくなります。

歩行時の前額面モーメントが大きくなると股関節変形も進行する

Tateuchi H, Koyama Y, Akiyama H, Goto K, So K, Kuroda Y, Ichihashi N. Daily cumulative hip moment is associated with radiographic progression of secondary hip osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2017 Aug;25(8):1291-1298. doi: 10.1016/j.joca.2017.02.796. Epub 2017 Feb 21. PMID: 28232145.

と報告されています。

なので大殿筋や中殿筋の股関節外転筋exを行うことで進行予防にも機能改善にも繋がります。

しかし、ここで重要になるのは殿筋群だけが筋力低下を起こすわけではないということです。

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