今回のテーマは「肩甲骨の安定に必要な前鋸筋の運動療法-エクササイズ方法4選-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・股関節伸展制限の影響を把握できる
・股関節伸展の評価方法がわかる
・具体的なアプローチ方法がわかる
・実践的な運動療法ができるようになる

今回の記事は「股関節伸展制限」についてになります。

 

股関節伸展制限があると、どのような影響があるのか?

伸展の評価方法ってなに?

 

股関節伸展制限というのは、股関節屈曲筋群の柔軟性低下などがあり伸展方向に動かせないことを示しています。

 

腰部疾患患者、膝疾患患者も股関節の可動域を確認することは非常に多く、股関節伸展制限というのは多くの人が抱えている問題に当たると思います。

 

 

股関節伸展の参考可動域は、約15度程度と言われていて数字的にはそこまで大きくはないです。しかし、数字とは裏腹に、高齢者・スポーツ疾患患者のどちらにおいても重要になります。

 

股関節伸展制限

定義

 

股関節伸展制限は以下のように定義されています。

 

修正Thomasテストにおいて、股関節を完全に伸展できないこと

 

後ほど紹介していきますが、股関節伸展を評価できるThomasテストは臨床でも使用頻度の高いものになります。そして、高齢者の退行変性疾患患者では股関節伸展制限が起きている可能性は高くなります。

 

股関節伸展ROMの評価

 

股関節可動域の評価としては、他にもエリーテストがあります。エリーテストは、腹臥位になり膝関節を屈曲させていき、踵が臀部につけることができるのかという股関節屈曲筋、特に大腿直筋を見ている検査になります。

 

今回紹介するのは、Thomasテストになりますが、方法がエリーテストと異なります。

 

その辺りを見ていきましょう。

 

Thomas test 

 

トーマステストは、対側の股関節を屈曲させて相対的に股関節を伸展位で検査を行います。検査側の大腿部からベッドから離れていれば陽性、股関節屈曲筋の柔軟性低下を示します。

 

この検査自体は背臥位で実施できますが、意外と判断しにくい検査方法になります。

 

大腿部がベッドから離れているのか判断にしくいことや抱えているはずの対側の股関節屈曲が甘く、骨盤が固定できていないことも多いです。

 

それらを踏まえて、"変法"を実施するようになりました。

 

Thomas test 変法

 

トーマステストと同様の検査方法ですが、股関節より遠位はベッドから出して行います。

 

対側の股関節をしっかりと屈曲させることで、骨盤を固定することができ正しい評価を行うことができます。

 

Thomas test 変法①

 

大腿部がベッドにつかない

 

この場合は、股関節伸展制限となり腸腰筋の短縮が示唆されます。もし股関節を下ろしていく動作の際に、膝関節が進展していく場合は、大腿直筋の短縮が示唆されます。

 

股関節伸展制限→腸腰筋

膝関節伸展→大腿直筋

 

 

Thomas test 変法②

 

股関節が外転する

 

股関節を下ろしていくときに、股関節が外転してしまう場合は大腿筋膜張筋や腸脛靭帯の短縮が示唆されます。

 

股関節外転→大腿筋膜張筋

 

①②の初見は同時に確認できることもありますので、見逃さないように評価を行いましょう。

 

評価時の注意点

 

この評価自体は、なかなか難しい検査となり結果自体も検査者によっても変わりやすいと感じています。

 

患者のポジショニング、特に股関節屈曲は大きなポイントになるため、骨盤を固定することで正確な評価が実施できると思います。

 

評価時の正確性

 

トーマステスト自体が、感度と特異度が高い検査ではないため偽陽性や偽陰性が起きやすい検査になります。

 

骨盤の固定や股関節屈曲などを実施して評価を正確に行っていきましょう。

 

股関節伸展制限の影響

 

股関節屈曲筋の柔軟性低下は、多くの影響をもたらします。

 

まずは一つずつ確認していきましょう。

 

影響①

 

 

 

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