今回のテーマは「扁平足とショートフットってなに?」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
扁平足に関しては、"内側縦アーチが低下している"というような単純な病態ではありません。私も少し前までは、このように考えていました。
まずは扁平足の病態モデルを知ることで、運動療法でどのようにアプローチしていくのかを考えていくことができます。
では始めていきます!
扁平足の病態
定義
まず最初に知っておくべき内容としては、扁平足の定義になります。
「なにが扁平足になるのか」
「どのような所見があれば扁平足と言われるのか」
この辺りの知識を今一度整理しておきましょう。
・先天性または後天性に足部アーチの変形が生じることに伴う諸症状
・足の内側縦アーチの崩壊によって引き起こされる足関節と足部の進行性変形が継続する複雑な病態
上記のように定義されています。
つまり、足部アーチの問題が起因となり扁平足が生じていると考えることができます。
アーチの扁平化
アーチの扁平化から扁平足が生じる流れとしては以下のことが考えられます。
後脛骨筋機能不全
↓
後足部外反
↓
前足部外転
↓
ショパール関節・靭帯の伸張
↓
扁平足
軟部組織性の支持性が低下することから関節や靭帯への負荷が強まり、扁平足へ進行していくことが考えられます。
病態モデル
一般的な扁平足の病態としては、後脛骨筋が炎症や変性で活動しにくい状態(後脛骨筋機能不全:PTTD)になってしまい、内側縦アーチの低下やアライメント異常(後天性扁平足変形:AAFD)につながってきます。
もう少し病態モデルを詳しくみていくと...
上記のような集合関係になっていると報告されています。先ほどは後脛骨筋機能不全からなる扁平足の例を挙げましたが、一方向性ではないことがわかると思います。
後脛骨筋の機能が低下している状態は2段階あり、初期であれば疼痛出現や相対的な筋力低下などになります。
扁平足の評価
①内側縦アーチ
②前足部外転
③ヒールレイズ
④後足部外反
⑤疼痛と圧痛
これらの所見を確認できると病態把握が行うやすいと思います。
それぞれの項目について詳しくみていきます!
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①
客観的な評価方法としては、アーチ高率があります。
足長に対するアーチの高さを評価して基準値の比較をすることができます。しかし、臨床で時間がない方も多くいらっしゃいます。その場合は、内側縦アーチの空間・隙間があるかを視診で評価してください。
もう一つの評価方法としては、動的な検査があります。
母趾背屈テストという、母趾伸展時に内側縦アーチが形成されるのか、舟状骨が挙上するのかを確認する検査になります。
自動運動で評価しますが、荷重がかかる立位が最も難易度が高くなります。座位を含めて検査しておきましょう。
②
扁平足の所見の一つとしては、前足部外転があります。
足を後方から確認して見える足趾の数を数え、前足部が外転して、第5趾や第4趾が見えると陽性になります。
③
・片脚でのヒールレイズができない、
・垂直に踵を挙上できず、前足部まで上がらない
上記のようになると後脛骨筋機能低下として評価でき、扁平足になるリスクがあります。
ショートフットエクササイズ
そして扁平足に対する運動療法としては、ショートフットexがあります。
別名は短足運動とも言われるものであり、足長を短くするように足底筋を短縮させ、内側縦アーチの挙上を狙ったエクササイズになります。
臨床的には、ショートフットexは扁平足患者には難易度が高いエクササイズに該当します。扁平足患者は、開張足のように足底の筋肉・靭帯を伸ばしている状態で生活しています。そのため、短縮させることが非常に難しいです。
今回は、そのショートフットexの効果を見ていきましょう。
効果①
足関節不安定症におけるバランス・体性感覚の改善があります。
バランス能力改善の一つとして、固有感覚運動があります。その運動よりもショートフットエクササイズの方がよりバランスや体性感覚の改善が確認されています。
足関節内反捻挫後やバランス能力を改善したい患者に対しては有効的なエクササイズになります。
効果②
バランスと膝関節の安定性を向上させる効果があります。
他の関節への良い影響を生み出すことができます。
効果③
電気刺激とショートフットエクササイズは母趾外転筋の機能を改善させる効果があります。
母趾外転筋の機能障害は、舟状骨を下垂させることになります。より扁平足の病態に近いてしまいます。
効果④
健常者に対するショートフットexは、舟状骨下垂の改善、バランス能力改善が確認されているため予防対策としては有効的になります。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございました。