今回のテーマは「姿勢の影響を受ける頸部深層筋に対する5つの評価-評価から運動療法につなげる-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今回は「頸部深層筋」について共有していきます。
頭部前方位姿勢、いわゆるフォワードヘッドポスチャーといった異常姿勢アライメントは頸部深層筋への影響をもたらします。肩関節や胸郭に対して頭部が前方に位置している姿勢ですが、多くの患者で確認することができますし、「悪い姿勢」の代表でもあります。
そのため患者本人も「治していきたいけどどのようにしたら良いのか」と思っています。どうしてもどのようにしたら修正できるのかというエクササイズなどに目が向いてしまいます。まずはどの程度筋機能が低下しているのかを評価していきたいですが、アライメントの視診だけで判断するのは安易すぎるかもしれません。
頸部深層筋への評価を学んでいくことで、運動療法に応用することができます!
では始めていきます!
臨床に多い頭部前方位姿勢
スマホを使っている姿勢やPCを触っている姿勢をイメージすると、上図のような姿勢を取っている方が非常に多いです。この姿勢を頭部前方位姿勢といって、異常姿勢アライメントになります。
頭部自体はある程度の重量があり、頭部前方位姿勢の方は頸部の後面筋が常に収縮している状態になります。筋肉だけで頸部を固定することが非常に難しく、靭帯や関節への負担もかかります。
今回の中で踏み込んでいきたいのは「疼痛」です。
頭部前方位姿勢と疼痛は相関があると報告されていて、姿勢アライメントの異常は筋の不適切な筋活動パターンを引き起こします。
もう少し詳しく姿勢アライメントを見ていき、どのような影響が生じるのかを把握しておきましょう。
姿勢アライメント
頭部前方位姿勢は矢状面から評価した時に、頭部が前方に位置しているというだけではなく、他の異常アライメントも隠れています。
・上位頸椎伸展
・中下位頸椎屈曲
・胸椎後弯
アライメント異常は頸椎椎間関節への圧縮ストレスの増大や筋肉の過剰緊張や短縮などを生み出します。
実際に臨床をイメージした時に頭頸部だけの異常姿勢アライメントの患者はほとんどいないはずです。胸椎後弯や骨盤後傾といったアライメント異常があり、同時に併発していることがほとんどです。
では頭部前方位姿勢を評価する際に
肩峰を通る矢状面の垂直線より耳垂が前にある
↓
フォワードヘッドポスチャーと評価
というのが実際の臨床であると思いますが、リハビリを進めていくときに"どれくらい修正できるようになったのか"を再度評価するのが難しくなります。
定量的な評価を用いることで、修正度合いを経過ごとに確認することができます。
アライメントと症状の有無
定量的な評価で用いるのは頭蓋脊椎角(CVA)です。C7棘突起を通る水平線とC7棘突起から耳珠を通る線が成す角度であり、この角度が増えるほど、垂直に近づくほど頭部の位置が正常にあることを示し、角度が減少するほど頭部前方位姿勢を示しています。
そして、頭蓋脊椎角と症状の有無も関連があります。疼痛などの症状がある群は頭部が前方に位置していて、胸椎の後弯があることが報告されています。
頭部前方位姿勢と胸椎後弯は関連しているだけではなく、どちらも確認できる場合は疼痛が生じやすい環境であることになります。
この姿勢アライメントでは頸部深層筋群は筋力低下を起こし、頭部の位置を適切な位置に戻すことが難しくなります。
頸部深層筋群
頸部深層筋群は伸筋と屈筋に分かれます。どちらの筋群も起始・停止の長さが短い(いわゆるモーメントアームが短い)特徴があります。
後頭下筋群
・小後頭直筋
・大後頭直筋
・上頭斜筋
・下頭斜筋
椎前筋
・頭長筋
・頸長筋
・外側頭直筋
・前頭直筋
特徴
頸部深層筋はモーメントアームも短くて小さい筋肉になります。
分節的なコントロールと頸部の安定化の役割があります。
これらの特徴があります。
頸部深層筋群は持久性に優れており、筋紡錘が豊富なため固有受容感覚が優れています。
頭部前方位姿勢ではこれらの機能が低下してしまいます。
頸部深層筋の機能低下→アライメント異常というよりも
アライメント異常→頸部深層筋の機能低下が多いと考えています。
筋機能の変化
具体的な深層筋群の機能変化を見ていきます。
頸部痛患者は上記のように機能が変化してきます。筋線維タイプが速筋線維に変化することで持久力低下が起き、優れていた固有受容感覚も低下してしまいます。
疼痛が生じて機能が低下すると、頭部の位置を戻しにくい状態になります。例え頸部の位置を戻しても、筋機能が変化することは少ないです。機能低下した状態のままでは頭頸部の正しいアライメントの位置で保持することが難しいです。
このことからも頸部深層筋への運動療法は必要ですね。
とはいっても
どの程度機能が低下しているのか?
この辺りを確認しておかないと運動療法の効果があったのかを把握できなくなります。
ここから先は頸部深層筋群の機能評価を5つを共有しておきます。
評価を行うことで狙うべき治療対象を明確にすることができ、患者の筋機能に合わせて運動療法を展開することができます。
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