今回のテーマは「押さえておくべき運動負荷設定-年齢や種類別によるポイント-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・種類別の運動負荷設定ができる
頻度・強度・持続時間・種類を明確にできる
・高齢者から若年者まで運動療法を展開できる

今日は「運動療法時の運動負荷設定」について共有していきます。

運動療法の展開時には負荷量の設定が重要になってきます。というのは、負荷量が高い場合は疼痛が発生してしまうこともありますし、新たなケガにつながることも考えられます。
また負荷量が低い場合は、効果が生じにくいということでもあります。

加えて考えていかないといけないのは、運動療法展開時の頻度があります。

「設定方法がわからない…」
「なんとなくこれで…」

このように考えているセラピストが多いかと思います。

今一度運動負荷設定について、学んでいきましょう!

では始めていきます!


FITTの原則

運動療法を患者に提供していくには、"再現性"を考えて実施していくことが重要であると感じます。

何も考えずにエクササイズを提供するのと、明確な設定をしてエクササイズを実施するのでは大きく違ってきます。

以下のように項目を決めておくと、疾患が変わっても年齢層が変わっても、運動療法を適切に提供することができます。

FITTの原則は、運動療法を提供する際に頻度・強度・持続時間(ここでは収縮時間も含まれる)・種類を明確にしておくことです。

この辺りに関しては、臨床経験上で体験している部分であると思います。というのは、変形性膝関節症患者に対して、股関節外転エクササイズを週1回(頻度)・自重(強度)で実施。筋力訓練の効果が少ないと判断すれば、次からのエクササイズは実施回数(頻度)を増やすか重錘やバンドを使っていくと思います。

例:変形性膝関節症患者の股関節外転エクササイズ
頻度:週1回・10回✖️3セット
強度:自重
       ↓効果が少ない場合↓
頻度:週2回・10回✖️3セット
強度:バンドや重錘を使う

このように再現性があればあるほど、運動療法を患者の特徴や身体機能に合わせて提供していくことができます。

有酸素運動時の設定

ここからは有酸素運動や全身持久力トレーニングの部分で必要になってくる設定方法を共有していきます。

カルボーネン法(心拍数)

目標心拍数=最大心拍数×運動強度+安静時心拍数

カルボーネン法は、心拍数を指標とした運動強度の設定になります。心拍数自体は、橈骨動脈を触知して計測できたり、スマートウォッチで計測することができます。そのため、運動強度を設定していくには臨床において実施しやすい項目である感じています。

通常の負荷設定は60%〜80%が推奨されています。例えば、患者の年齢が70歳、安静時心拍数が70だとしましょう。その場合の運動強度を60%に設定した時に、目標の心拍数は118となります。もし、運動強度が50%であれば、目標心拍数は118よりも下がり、110になります。

運動療法で自転車エルゴメーターを実施する患者も多いかと思います。変形性膝関節症で減量目的・疼痛緩和目的で実施した時に、心拍数を計測しておけば運動負荷を推察することもできます。

自覚的運動強度(ボルグスケール)

心拍数の評価指標としては、自覚的運動強度(ボルグスケール)があります。先ほどのカルボーネン法は定量的な評価指標であるのに対して、自覚的運動強度は自身の疲労度や「きつさ」を表す定性的な評価指標になります。

カルボーネン法:定量(数字でわかる)
自覚的運動強度:定性(数値化できない)

11「楽である」〜13「ややきつい」という部分が適切な運動負荷である指標になります。そしてボルグスケールは、評価指標の数字にを10倍にすると心拍数になるように工夫されているそうです。

メッツ(METs)

続いての運動負荷設定の指標ですが、メッツ(METs)があります。

体重1kgあたりに身体に取り込まれる酸素の量を示しており、安静座位姿勢を1METとしています。主にエネルギー消費を示すことができるものになります。

文献や書籍には日常生活動作やエクササイズ、スポーツ別にどれくらいの負荷量であるのかをMETで記載されています。

比較的軽い日常生活動作であれば3METs以下であり、歩行であれば3〜4METs程度に該当します。

日常的な生活の中での運動量や活動量を数値化することができますが、運動負荷の設定としては心拍数を使っていくことが最適であると思います。

バランストレーニングの設定

運動療法には有酸素運動や筋力訓練以外にもバランストレーニングがあります。

バランストレーニングを行う際に、実施時間であったり、頻度というのは筋力訓練よりも設定意識が薄いような気もしています。そのため今回は、運動負荷の設定をレビューを参考にしながら共有していきます。

対象と設定

上記のようにバランストレーニングの効果が報告されています。

実施頻度:週2回
実施期間:8週間
実施時間:7分間

このレビューの中身としては、バランスディスクの上で6種類の運動を7分間実施するというものになります。

結果的にファンクショナルリーチテストやTUGの数値の改善、バランス能力が向上したことを示しています。

あくまで一つのレビューになるため、多くの情報を見ていくことが必要であるが、虚弱高齢者に対するバランストレーニングに効果があることを知っておきましょう。

高齢者と子供の特徴

高齢者と子供のバランスに関する感覚器系の違いを把握しておきましょう。

普段から関わることが多い高齢者の特徴としては

前庭感覚の機能低下
視覚系の機能低下

といったようにバランス能力が低下してしまう要因があります。

子供の特徴としては

4〜6歳から感覚の重みづけが始まる

高齢者と比較するとバランス能力が向上していくことが推察できると思います。

筋力訓練の負荷設定

今回の本題である筋力訓練時の負荷設定について共有していきましょう。筋力訓練時には適切な負荷ではないと効果が生じにくいです。

どのように設定していくのか?
回数を変化させるのか?
負荷を変えていくのか?

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