1.横隔膜の基本的な知識

 

横隔膜の起始停止は上図のようになります。

 

起始は胸骨・肋骨・腰椎から付着していて、腱中心という部位に停止します。ドーム状の筋肉であり、呼吸運動に伴い、上下運動を行います。

 

横隔膜自体は、安静吸気筋としての働きが強く、腹式呼吸のような呼吸方法で上下動します。

 

整形外科疾患、特に腰痛患者と横隔膜の関係性は強く結びついています。

腰痛患者は横隔膜の移動量が少ない Vostatek P, 2013

このように腰痛患者の横隔膜は、機能が低下している可能性が高いです。

 

 

横隔膜の位置

 

横隔膜の高さは、心臓と肝臓の間に位置しています。左上には心臓があり、右下には肝臓があります。

この位置関係が横隔膜の移動量や機能に左右差を生み出し、重心や荷重が変化することにつながります。

 

支配神経

 

横隔膜は2重神経支配であり、横隔神経と迷走神経が支配しています。互いの神経は、頸部でつながっています。

 

2つの神経のうち、迷走神経は痛みと密接な関係性にあります。

迷走神経の役割

2次侵害受容ニューロンの活動を抑制

・内臓痛を含めた痛みの情報を伝達

 

迷走神経が活動すると、疼痛を抑制できる可能性があります。

 

2.横隔膜の機能

 

ここからが横隔膜の本題になります。

 

「横隔膜といえばなに?」

そのように聞かれて、何が思い当たるか考えてみると...

 

呼吸機能が最もイメージしやすいと思います。もう一つ代表的な機能としては、姿勢調節機能になります。

 

これら2つの機能が最も代表的なものになるため、横隔膜の機能が低下する場合は、呼吸機能や姿勢調節機能が低下することを考えておきましょう。

 

その他の機能としては、3つあります。

①心機能

②リンパ機能

③逆流防止機能

 

これら3つも関係してくる部分になります。

 

呼吸

 

横隔膜の機能の【呼吸機能】ですが、吸気時に横隔膜が下降して、呼気時には横隔膜が上昇します。

 

横隔膜の収縮

吸気→求心性収縮 呼気→遠心性収縮

 

横隔膜と同様に呼吸で重要な筋肉として、腹横筋があります。腹横筋はベルト状の形であり、腹圧に寄与する筋肉になります。

腹横筋は、吸気時には遠心性収縮をしていて、呼気時に求心性収縮になります。

 

 

姿勢調節

 

もう一つの機能として、姿勢調節機能になります。

 

横隔膜が上下移動することで、腹圧が高まり、無意識的に身体を動きやすくかつバランスが保てるように働きます。

 

腹腔内圧の上昇は脊柱の剛性を高める

三角筋の筋活動より先に横隔膜の筋活動が開始する

 

横隔膜が下降することで、腹圧が高まり、結果的に脊柱の剛性が向上します。

また上肢の動作より先に、横隔膜が活動して姿勢をコントロールします。

 

 

機能のまとめ

 

横隔膜は安静時呼吸量の75%を占めていると言われていて、呼吸における重要性がわかると思います。

 

それに加えて、姿勢調節機能があることで体幹の安定性に寄与しています。

 

3.臨床的な応用・ケーススタディ

 

ここからは、横隔膜を理解するために臨床的な考え方を紹介していきます。

 

ケーススタディのように知ってもらえると臨床で応用しやすいと思います。

 

治療アプローチにつなげていく方法は....

 

 

 

 

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