評価が丁寧でも介入が決まらない

はじめに

初回評価を一通り終えて、カルテを見返す。可動域制限あり。筋力低下あり。圧痛あり。動作時痛あり。柔軟性低下あり。

しっかり評価できています。抜けもありません。

なのに、そこで手が止まりませんか。

「で、どれから?」

これ、情報が足りないから止まっているのではないんですよ。むしろ逆で、集めた所見に優先順位をつける基準がないから止まっている。だから、ここで評価をもう一つ足しても、状況は改善しません。候補が6つになるだけです。

必要なのは検査を減らすことでもありません。患者さんの困り事を説明する仮説を先に置いて、その仮説を採るか捨てるかに必要な情報へ、評価を絞ることです。

この記事は、その順番を入れ替える話です。

所見は、放っておくと同じ重さで並ぶ

仮説がない状態で評価を並べると、何が起きるか。

可動域制限も、筋力低下も、圧痛も、全部が同じ重さで横一列に並ぶんですね。

そうすると、それぞれの所見に対応する運動が候補として立ち上がります。可動域制限があるからストレッチ。筋力低下があるから筋トレ。圧痛があるからリラクゼーション。候補が3つ、5つと増えていく。

増えた候補は、選べません。全部やるか、なんとなく一番目立つものを選ぶか。どちらかになります。

つまり、網羅的に検査する→複数の陽性所見が出る→優先順位がつかない→介入候補が増えて止まる、という流れです。評価が丁寧なほど止まりやすい、という妙な構造なんですよ。

停止点は情報不足ではなく、選別基準の不在。ここを取り違えると、次回また評価を足してしまいます。

評価は「集める」ではなく「仮説を更新する」

前提を一つ変えます。

評価の目的は、情報を集めることではありません。仮説の確からしさを変えることです。

仮説は最初から正解である必要はないんですね。問診と動作を見て、暫定的な説明を一つ置く。評価をやってみて、支持されたら優先度を上げる。合わなければ下げる。それだけです。

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