今回のテーマは「人工関節患者の運動療法をする前に知ってほしいバランス障害と基礎知識」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・バランス障害の理解が深まる
・高齢者の加齢に伴う変化を理解できる
・人工関節患者への運動療法で注意ができる
・バランスへのアプローチに幅が広がる

今回は「人工関節患者のバランス」についてです。

バランス能力は、日常生活での安全と自立を支える基盤となります。しかし、そのメカニズムや障害が生じるリスクについての知識が不足していると、予期せぬ転倒や怪我につながる危険性が高まります。

リハビリを必要とする患者やクライアントは高齢者が多いです。また整形外科疾患を持っていれば尚更バランス障害になり、生活の質を著しく低下させる可能性があります。

ということでバランスの理解を深めていきましょう!

では始めていきます!


基本的なバランスとは?

バランスとは、人間が立つ、歩く、走るなどの活動を行う際に、体の位置を適切に制御し、身体の安定性を維持する能力を指します。日常生活でのさまざまな動作やスポーツ活動において、このバランス能力は非常に重要です。

バランス能力を構成する要素を大きく2つに分けることができます。実際には多くの因子かつ細かな因子が関わっているからこそ、考え方を難しくしてしまいます。ここではシンプルに考えていきます。

運動器系に多い要素
・骨関節機能
・筋機能
神経系に多い要素
・感覚機能
・認知機能
・調整機能

今回のテーマである人工関節患者は運動器疾患であり、直接的にバランスをアプローチするケースは少ないと思います。しかし、運動療法をするにあたって必ずバランス障害に直面します。

人工関節患者は整形外科疾患

先ほどもあげたように整形外科疾患は筋力・疼痛・可動域がフォーカスされるため、バランス障害は重要視されないケースがほとんどです。

しかし片脚立位における運動療法を展開していくと、バランス障害によってうまく展開できないことを経験します。

ここで前提知識として入れておきたいのが、高齢者のバランス能力についてと、人工関節患者の特徴です。この2つが組み合わさることで人工関節患者の運動療法を悩ませることにつながります。

高齢者のバランス能力

バランスを維持するためには、以下の三つの主要なシステムが連携して働きます。

  1. 視覚系:目からの情報を利用して、周囲の環境や動きを把握し、身体の位置を調整します。

  2. 前庭系(内耳):頭部の動きや加速度を感知し、身体の平衡を保つのに役立ちます。

  3. 体性感覚:足や体の他の部位からの触覚情報を提供し、どのように体が接地しているかについての感覚を提供します。

バランス障害はこれらの3つのシステムの異常が生じて、めまいやふらつき、立ちくらみや座っていても感じる不安定さ、歩行時の不安定さや転倒しやすさなどの症状を引き起こします。

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