今回のテーマは「解剖と機能の基礎から学ぶ前十字靭帯-危険因子と運動療法の考え方-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今日は「前十字靭帯」について共有していきます。
前十字靭帯(ACL)損傷は、スポーツ外傷の中でも復帰まで長期間のリハビリを必要するケガになります。というのは、ACL損傷は基本的には手術が必要になります。中には手術の選択をしない患者もいたりします。
受傷した選手に対してセラピストも長期間サポートやリハビリを行なっていくため、ACL損傷のリハビリを難しいと考えています。
・何をすればいいのかわからない
この点が大きいと思っています。
プロトコール(スケジュール)があると言っても、炎症が続いてリハビリを進めにくい、疼痛が強くて可動域獲得が難しいと言ったようにスケジュール通りに進めることが難しいと思います。疼痛や炎症といった因子があることで日に日に遅れていくことがあります。
まずはACLに対する解剖学な理解を深めていく必要がありますし、基本的には手術の選択肢もあるため、術式の理解も必要です。
どのようにリハビリを進めていくのかわからない、リハビリにおける重要なポイントがわからない、これらはACLの理解を深めていくことで解決できるkともあると思います。
それでは本題に入っていきます!
では始めていきます!
前十字靭帯
前十字靭帯は膝関節を安定させる4つの靭帯のうちの一つです。4つの靭帯は、前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靭帯・外側側副靭帯です。膝関節自体は大腿骨と脛骨から構成される関節であり、内反・外反・回旋といったストレスに弱い特徴があります。
構造的な安定性があるものの靭帯における安定性も必要になってきます。
上記の4つの靭帯の中で、 2つに分類することができます。
関節包内靭帯→前十字靭帯・後十字靭帯
関節包外靭帯→内側側副靭帯・外側側副靭帯
これらの違いの特徴としては、”組織修復”になります。前十字靭帯は関節包内靭帯であり、損傷時の自己修復が困難になりますが、MCLやLCLは修復することができます。
後ほど後述しますが、ACL損傷時にはMCL損傷を伴うことが多いです。 2つの靭帯の損傷における違いは自己修復できるかどうかであり、患者への説明が重要になってきます。
なぜ手術が必要になるのか?
なぜ治らないのか?
受傷した患者は不安な状態であるため、きちんとした対応や説明がラポール形成にもつながります。
解剖
ACLは2つの線維に分類することができます。
前内側線維(AMB:antero-medial-bundle)と後外側線維(PLB:posteo-lateral-bundle)があることで、膝関節角度全体で緊張を維持しており、安定性を確保しています。
前内側線維は膝関節屈曲位で緊張して、後外側線維は膝関節伸展位で緊張します。
機能
ACLは大腿骨外側顆内側から脛骨前方に付着するため、大腿骨に対する脛骨の前方移動を制動しています。
他に動きとしては
・脛骨前方移動
・膝関節外反
・脛骨内旋
これらが挙げられます。
ここで整形外科的テストを思い出してください。
ACL損傷時の一般的な検査方法としては、ラックマン(Lachmann)テストとADS(前方引き出し)テストがあります。 2つの検査方法は膝関節角度が異なりますが、共通する点は脛骨前方移動に対してACLが制動できるのかということです。
ACLが緊張・伸張するアライメントや動作を把握しておかないと動作指導や生活における注意点を伝えることが難しくなります。
ACL損傷
ACL損傷はスポーツ中に生じることが多いとされていますが、中学生や高校生の体育の授業で起きる可能性があるスポーツ障害です。世界中で毎年200万件以上発生するという報告もあるくらい、多くの人が悩まされるケガになります。
ACL損傷は接触の有無によって非接触型と接触型(ノンコンタクトとコンタクト)分類することができます。
接触型というのは、バスケットボールやサッカーといったコンタクトスポーツにおいて相手からの接触により受傷してしまう損傷です。もう一つが非接触型であり相手からの接触がなく、自分自身の要因により受傷してしまう損傷を指します。
ジャンプ動作の着地時や切り返し時といったスポーツ動作において受傷することが多いが、自分自身の身体的な要因によるため、リハビリや予防といったアプローチによってケガを受傷する危険性を下げることができます。
リハビリで「何をしたらいいのかわからない…」では、受傷しやすい身体的要因を解決・修正することができないままになってしまいます。
受傷しやすい身体的要因、いわゆる危険因子の理解を深めておくことで受傷のリスクを減らしながら治療アプローチに応用することができます。
ではACL損傷の危険因子、どのような所見があるのが良くないのか…
これらを確認しておきましょう!
ACL損傷の危険因子は…
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