今回のテーマは「これだけは知ってほしい肩関節前方脱臼の前提知識」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・肩関節前方脱臼のメカニズムとタイプを理解できる
・固定姿勢の重要性を理解できる
・固定期間の重要性を理解できる
・後遺症について理解する事ができる

今回は「肩関節前方脱臼と亜脱臼」について共有していきます。

肩関節脱臼と亜脱臼に関しては、そこまで症例数は多くないと思います。だからと言って、治療する際に患者に病態説明できないのも良くないです。

脱臼した後の病態はどのようになっているのか?

今回の記事は脱臼や不安定性の再発率などを読んで学ぶ事ができます。

では始めていきます!


肩関節不安定症とは?

まず大前提として、脱臼を繰り返してしまうと肩関節不安定症という病態になります。不安定症の病態の中に、反復性肩関節脱臼・習慣性後方脱臼・多方向性肩関節不安定症があります。

肩関節脱臼について

肩関節脱臼は以下のように定義されています。

上腕骨頭が関節窩を乗り越えて逸脱してしまう

脱臼でも亜脱臼でも一度は骨頭が逸脱しており、その際の損傷も生じています。

理学療法士の場合は整復できるわけではないため、リハビリを行う際にどのような機序で脱臼をしたのかを問診で確認しておく必要があります。というのは外傷性で脱臼する場合と非外傷性で脱臼する場合に分かれます。

ACL損傷の接触・非接触に分類できることと同じです。

脱臼の割合

基本的には前方脱臼の方が圧倒的に多く、後方脱臼は稀なケースです。

自分自身も整形外科クリニックに勤めていますが、臨床経験の中でも肩関節後方脱臼の症例はいまだに経験していません。地域柄やクリニックの特色も関係していることもありますが、症例数が少ないのは共有事項であると思います。

前方脱臼のメカニズム

肩関節前方脱臼のメカニズムとしては、基本的には強制的な肩外転・伸展・外旋で生じるとされています。なぜ前方脱臼が多いのかというと多くの要因があります。

1つ目は肩関節前方組織の方が薄く、密度も少ないことが考えられます。肩関節後方組織には関節包や腱板のような軟部組織も多く存在します。そのために前方組織の支持性を補うように関節上腕靭帯が存在します。それでも脱臼してしまう時は脱臼してしまいます。

2つ目は肩関節可動域の影響です。可動域のトータルアークとしては、屈曲方向が広く、前方に動かすことを得意としています。反対に後方に動かすことは苦手であり、肩関節伸展・水平外転・外旋という動き自体はなかなか可動域範囲が広くはないです。そのため可動域以上の範囲を動かそうとすると上腕骨頭が脱臼方向に誘導されてしまいます。

2nd外旋位の姿勢は特にオーバーヘッドスポーツに多く、投球動作やラケット競技のサーブなどが多いです。一度脱臼してしまうと2nd外旋位の姿勢をとると「もう一度脱臼してしまうのでは?」という不安感が生じる事があります。

その時には不安感を解消できるように運動療法などを進めていく必要があります。

前方脱臼のタイプ

前方脱臼には4つのタイプがあるとされています。

烏口骨下
関節窩下
鎖骨下
胸腔内

脱臼姿勢の状態でリハビリを行うことはなく必ず整復している状態ですので、あくまで脱臼の分類は予備知識として入れておいてください。

固定姿勢

内旋位固定と外旋位固定

ここからは脱臼した後の固定姿勢について共有していきます。

脱臼した際にどのように固定することが多いですか?

脱臼の症例が少ないような姿勢であれば肩関節内旋位固定であることが一般的であると思います。

しかし、肩関節外旋位で固定することも少なくはないです。

少し脱線しますが、今回の記事を執筆した大きな理由は自分自身が亜脱臼したことです。その際には三角巾で肩関節内旋位の1週間未満の固定を行いました。

今回は学んでみて色々な発見がありましたので、共有されてもらいます。

肩関節内旋位で固定することは脱臼した際に前方組織(関節包・関節上腕靭帯・肩甲下筋など)が損傷している可能性が高く、損傷を治癒させることと再脱臼しないことを目的に行います。

では肩関節外旋位はどうでしょうか?まずはその効果を見ていきましょう。

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