今回のテーマは「運動療法で使える・必要な胸椎・胸郭のモーターコントロール評価」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今日は「運動制御・モーターコントロール」について共有していきます。
モーターコントロールって聞いたことありますか?
運動制御って聞いたことありますか?
また書籍や論文などを見たことはありますか?
以前、腰椎や肩関節・肩甲骨のモーターコントロールについて記事を執筆したことがありますが、ほとんどのセラピストは運動制御について捉えきれていないと思っています。
というのは勉強していないという単純なことではなく、書籍や論文では難しくて理解できないということが本音だと思っています。
自分自身も運動制御・モーターコントロールについて学び始めたのは、経験年数3年目な気がしますが、書籍から学び始めて難しすぎて途中でやめました。笑
そこから再び勉強して、モーターコントロールの重要性を感じました。これらの知識を持っておかないと以下の問題が起きる可能性があります。
1.適切な運動プログラムの作成が難しい:
モーターコントロールに対する理解が不足していると、患者に適切な運動プログラムを作成することが難しくなります。モーターコントロールは動作に関連していて、患者の症状や身体的な状況(可動域・筋力・疼痛など)を考慮してプログラムを適切に調整する必要があります。
2.安全性の問題:
運動制御の知識が不十分な場合は、患者に運動を指導する際に安全性の問題が生じる可能性があります。誤った動作や姿勢の指導が行われると、ケガや悪化のリスクが高まります。
3.パフォーマンス向上の欠如:
患者のパフォーマンスを向上させるための運動介入が効果的に行われない場合があります。適切なフィードバックや運動の微調整が必要な場面で、効果的に対応できないかもしれません。
4.効果的な治療の欠如:
モーターコントロールは、神経学的な障害や運動障害の治療において重要な要素です。運動制御に基づいた治療を行わないと、患者の回復や機能改善に対して効果的なアプローチが不足する可能性があります。
上記の話はあくまでも自分自身の体験をもとにした話でもありますので、誰もが当てはまると言いません。しかし、モーターコントロールの理解を深めておく必要性は感じていただけたと思います!
それでは本題に入っていきます!
では始めていきます!
モーターコントロール
運動制御とモーターコントロールは同じ意味で使われています。モーターコントロールというのは、元々機械的な意味合いが強いと思いますが、リハビリでは「制御する能力」を示しています。
運動制御・モーターコントロールの理解
↓
動作時の評価ができる
↓
適切な運動療法・エクササイズを提供できる
モーターコントロールの理解は適切な運動療法やエクササイズを提供できるようになります。
運動療法に重要であるとしていますが、徒手療法においても重要です。患者やクライアントの評価時に用いることができるモーターコントロールであるため、評価結果から徒手治療を行うのか・運動療法を行うのかはさまざまなアプローチの中から選択すればいいと考えています。
モーターコントロール不全
モーターコントロール不全というのは自動運動の制御の低下であり、動作エラーを確認できることです。もう少し噛み砕いてみると、関節の動かし方が異常ということです。
では胸椎の運動制御不全とは何か?
胸椎の運動制御不全
胸椎・胸郭のモーターコントロール不全は、腰椎よりも着目すること自体が少ないと思います。というのは胸郭は胸骨・肋骨・胸椎で構成されていて、構造的安定性が高く、胸部痛が生じにくい環境であることがあります。
とは言っても胸椎の動かし方を評価が見ておく必要性はあります。
これらの動作所見を評価として用いることで症状の軽減や改善に向けてリハビリを進めていきやすくなります。
動作不良(UCM)
胸椎の「制御できていない(uncontrol movement)」は上図のようになります。ポイントとしては、低負荷の課題で制御できないということです。
胸椎屈曲の場合であれば、過剰な胸椎屈曲が所見として確認できることが多いです。肩関節屈曲の際に生じる胸椎屈曲・CAT&DOG(腰椎屈曲)で生じる胸椎屈曲などが当てはまると思います。
胸椎伸展と胸椎回旋に関しては、臨床上で確認できることが少なく今回の記事には取り上げていません。胸椎伸展や回旋は制限されやすく、"過剰な動き"が生じるケースはほぼ経験していません。紹介程度に見てください。
最後のポイントしては、呼吸と肋骨です。
呼吸運動の時に、肋骨が過剰に動いてしまうことが動作エラーになります。
このように低負荷(呼吸を含める)でも胸椎の動きを制御できていないということです。
ではここからはそれぞれの項目について共有していきます。
胸椎屈曲
胸椎屈曲に関する動作不良の要因としては
・腰椎骨盤帯の屈曲制限
・頚椎の屈曲制限
・肩甲骨の外転制限
これらが考えられます。
最も考えていきやすい、臨床で応用できるポイントは「腰椎骨盤帯の屈曲制限」による代償的な胸椎屈曲です。joint by joint theoryの理論では、胸椎は可動性、腰椎は安定性、股関節は可動性の関節です。そして腰椎の安定性低下、胸椎・股関節の可動性低下が起きると、腰椎へのストレスが増えてしまいます。
股関節屈曲制限が起きると代償的な胸椎屈曲が起きることが多いです。
胸椎伸展・胸椎回旋
退行変性疾患のような患者やクライアントを経験しているセラピストの場合は、胸椎伸展・胸椎回旋のモーターコントロールは必要性が少ないと思います。今回は内容を省いておきます。
呼吸・肋骨
腰部疾患患者の運動療法としてドローインのような呼吸エクササイズを提供するセラピストがほとんどだと思いますが…
呼吸や肋骨の動きを評価できていますか?
腰部疾患だからドローイン
って感じでエクササイズを行っていませんか?
呼吸と肋骨の動きを解剖学や運動学を理解してからモーターコントロールを理解すると「次にどうやって展開しようかな?」と治療の展開に悩むことが確実に減ります。(悩みが0になるわけではないです)
呼吸や肋骨の動作不良としては、安静呼吸時の胸郭の過剰な挙上と下制です。安静呼吸の際の肋骨は、努力吸気筋の活動自体も少ないため大きく動くことはないです。吸気時に過剰に挙上したりすると動作エラーになります。
5つの評価方法
ここから中核である評価方法について入っていきます。
①
腰椎屈曲(back flatting)
https://vimeo.com/848498025/321a02a25f?share=copy
壁に背中をつけて腰椎を平坦にするように腰椎を壁につけます。
"胸椎の屈曲が過剰"になると、頭部と胸椎部が壁から離れるように屈曲してしまいます。また力みがあり、自然な呼吸ができなくなります。
立位のため、動作自体の難易度は難しく高齢者の場合では陽性(動作エラー)が生じやすいように思います。
正しく評価できない場合は、次の評価の座位(骨盤テイルタック)を行いましょう。
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