今回のテーマは「膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今回の記事は「ランニング障害とPFPS」になります。
健康意識の増加によりランニングの需要が高まっていることはわかると思います。そして、それに伴って病院や整形外科クリニックにもランニングが要因となった患者が多く見えると思います。
まずはランニング障害というのは、どこの部位を怪我することが多いのか。そのランニング障害の一つであるPFPSという疾患や病態はどのようなのか。
これらを共有していきたいと思います。
ランニング障害
ランニング障害というのは、年齢や性別問わず人気があるスポーツであり、病院や整形外科クリニックに通院することが多いものでもあります。
ランニングの経験がある方であれば理解しやすいと思いますが、ランニング障害の約70ー80%はオーバーユース(使いすぎ症候群)とされています。
トレーニングの原理原則でもあるように過負荷の原理と特異性の原理というのがあります。
過負荷の原理は、一定以上の運動負荷を与えることで機能が向上していくというもので、"常に同じ負荷"というのは変化がないということにもなります。
特異性の原理は、トレーニングした内容や機能に伴って効果が出るということです。持久力トレーニングをするから長距離走のタイムが上がるということです。
これらの原理があるようにどうしても使いすぎてしまうというのがランニング障害になると思います。
疫学
ランニング障害の割合としては以下のようになります。
1、膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)
2、アキレス腱症
3、内側脛骨ストレス症候群(MTSS)
最も多いのが、膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)になり、3600人中600人程度になります。足関節や足部のストレスよりかは、膝へのストレスを減らしていくことが効果的な治療アプローチになると思います。
もう少し細かく見ていくと...
膝関節の障害が最も多く、PFPSが最も多いです。
その次に下腿の障害が多く、内側脛骨ストレス症候群(MTSS)という世間的にシンスプリントと言われる疾患が多くなります。
では最も多いとされている膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)について理解を深めていきましょう。
膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)
定義
膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)は膝蓋骨のトラッキング異常によって引き起こされる疾患になります。膝蓋骨のトラッキングというのは、膝関節屈曲伸展時に生じる正常な膝蓋骨の動きを示しています。
まずは正常な膝蓋骨の動きを知っておく必要があります。
膝蓋骨の運動学
・膝伸展位は膝蓋骨と大腿骨の接触はなく、最も可動性がある状態
・屈曲すると遠位(下)に移動、伸展すると近位(上)に移動する
・屈曲角度が増えると膝蓋骨の動きが少なくなる
この辺りの特徴は、頭に入れておくといいと思います。またもう一つ重要になってくるのが、膝蓋骨自体の動きになります。
膝蓋骨の動き
・Frontal rotation
・Coronary rotation
・Glide
・Tilt
これらの4つの方向に動くことが、膝蓋骨の可動性がある状態になります。
膝蓋骨の運動学異常が生じると、膝蓋大腿関節へのストレスが生じてしまい結果的に疼痛や可動域制限を生じることになります。
一般的な治療アプローチ
PFPS患者には、一般的に股関節外転・外旋筋エクササイズが有効的であるとされています。
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