今回のテーマは「肩甲骨の安定に必要な前鋸筋の運動療法-エクササイズ方法4選-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと

・前鋸筋の機能を把握できる
・前鋸筋exの考え方を知れる
・後脛骨筋exの引き出しが増える
・選択的なエクササイズが展開できる

 

今回の記事は『前鋸筋エクササイズの方法』についてです。

肩関節への運動療法や体幹としての運動療法で、前鋸筋を活性化することは非常に多いのではないかと思います。

運動療法の処方で前鋸筋エクササイズの頻度が多いほど、前鋸筋の重要性がわかると思います。

前鋸筋エクササイズってどのように処方していくのか?
どの部分に注意すればいいのかわからない…

前鋸筋へのエクササイズを処方する際には注意する点がいくつかあります。というのは、肩甲骨に付着している筋肉は多く、前鋸筋への刺激は他に筋肉への刺激をしていることも想定できます。

選択的に活性化できるように運動療法で注意していきましょう。

では始めていきます!


一般的な前鋸筋ex

一般的に広く使われている前鋸筋の筋力訓練は、セラバンドを使用したSerratus punchというのがあります。セラバンドを使うことで前鋸筋の収縮を強めることができます。

Serratus punch

片側で実施するエクササイズであり、open kinetic chain(OKC)であるため、初期エクササイズとして導入することが多いです。

またこのエクサササイズにはあるメリットがあります。

通常の前鋸筋exはとは違うメリットがあるため、その理由のために重宝しています。

その特徴については、続きを読み進めて最後までご覧いただければと思います。

では、前鋸筋の解剖や機能をいまいち理解しきれていないセラピストも少なくないと思いますので、深堀りしていきます。

前鋸筋

前鋸筋は3つの線維束に分かれています。起始がそれぞれ第1ー9肋骨に付着していて、上部・中部・下部線維に分かれて、機能が異なってきます。

肩甲帯の筋肉は、筋連結を有していることが多く、前鋸筋も菱形筋や外腹斜筋と連結しています。肩甲骨内側縁で菱形筋、停止部で外腹斜筋と付着しているため、菱形筋や外腹斜筋の機能も重要になってきます。

機能

肩甲骨を胸郭に対して安定させる

肩甲骨固定筋としての役割があります。前鋸筋上部線維は、肩甲骨回転時のくさび(アンカー)の作用があり、中部・下部は肩甲骨を回転させる作用があります。

前鋸筋の機能低下は翼状肩甲という肩甲骨異常運動(肩甲骨ジスキネジア)を引き起こす要因にもなりえます。臨床や運動療法時によく観察できる肩甲骨内側縁の浮き上がりを確認しましょう。

エクササイズの概要

起始が肋骨から肩甲骨に付着しているため、前鋸筋の収縮は肩甲骨を外転させる力が働きます。

そのため、肩甲骨外転運動(プロトラクション)がエクササイズ時の中心になります。

この概要を理解しておくとOKCでもCKCでも同じように展開することができます。

前鋸筋と小胸筋

前述した運動療法展開時の注意点は、肩甲骨外転時に前鋸筋と小胸筋の両者が活動してしまうことです。

なぜ小胸筋を活性化させてはいけないのか?

まずは小胸筋の機能について復習しておきましょう。

小胸筋は肩甲骨烏口突起と上位肋骨に付着しています。そのため、肩甲骨を外転・下方回旋・前傾させる作用を有しています。

肩甲骨を外転させる運動をさせると前鋸筋だけではなく、小胸筋の活動も高まることになります。

エクササイズの注意点

 

展開していくエクササイズにはいくつかの注意点があります。前鋸筋を選択的に活性化できる目安を参考にして運動療法で展開しましょう。

まず一つ目の目安としては、前鋸筋の活動が小胸筋よりも高いことが重要でうす。小胸筋を抑制しながら前鋸筋の活動を高めるエクササイズがあります。

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