
「最後だけ詰まる」は、よくある
肩を上げてもらうと、途中までは問題ない。でも最後の10〜20度で、患者さんがこう言います。
「先生、最後だけ肩の上が詰まります」
こういうケース、臨床ではよくありますよね。
このとき、肩関節や肩峰下を確認するのはもちろん大切です。ただ、肩だけを丁寧に見ているのに、なぜか評価と治療が噛み合わないことがあります。
そんなとき、一度見てほしいのが鎖骨なんですよ。
腕を最後まで上げるためには、上腕骨だけが動けばいいわけではありません。鎖骨が胸鎖関節を支点に動いて、その動きを受け取るように肩甲骨が上方回旋・後傾していく必要があるんですね。

つまり、終末域の痛みは「肩が悪い」で終わらず、鎖骨と肩甲骨が最後まで逃げられているかまで見る。そうすると、少し違った景色が見えてくるんですよね。
鎖骨を少し助けてみる
終末域で痛みが出たら、まず痛む角度を確認します。
そのうえで、鎖骨を挙上方向へ軽く誘導し、肩甲骨の上方回旋も邪魔しないように補助して、もう一度同じ動作をしてもらいます。
すると、さっきまで出ていた痛みが軽くなったり、挙上できる角度が少し増えたりすることがあるんですね。
ここで大事なのは、「やっぱり原因は鎖骨だ」と決めつけないことなんですよ。
補助して変わったのは、鎖骨と肩甲骨が動きやすい条件をつくると、症状も変わる可能性があるということです。あくまで、仮説が一つ具体的になっただけなんですよね。
即時変化は、診断でも治療効果の証明でもないんですよ。でも、次にどこを評価して、どんな運動を選ぶかを考える材料にはなります。
運動療法は、正解の種目を一発で当てる作業ではありません。条件を少し変えて、患者さんの反応を見ながら仮説を更新していく。そういう作業なんですよ。
鎖骨は、肩甲骨を動かすための支柱
鎖骨の動きを見るときは、胸鎖関節・鎖骨・肩甲骨を一つの連鎖として考えると、整理しやすいんですね。

胸鎖関節は支点です。ここを中心に、鎖骨が挙上して後方回旋していくんですね。
鎖骨は支柱です。肩甲骨を胸郭の外側に保ちながら、動くための余白をつくってくれます。
肩甲骨は、その動きを受け取って上方回旋・後傾します。これで、腕を上げ切るための最後の逃げが生まれるって話です。
この三つは、別々に働いているわけではないんですよ。支点が動くから支柱の向きが変わって、その結果として肩甲骨が動ける。そんな感じで、流れとして見ていきます