今回のテーマは「足部の安定性に重要な後脛骨筋-運動療法エクササイズ3選-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今回の記事は、「後脛骨筋」についてになります。
後脛骨筋は長趾屈筋と長母趾屈筋と同様に腓腹筋の深部に位置している筋肉になります。筋長が長い特徴がありますが、機能的にも重要な役割があります。
足部の安定性には後脛骨筋の機能が重要になりますし、足部の不安定性は運動連鎖を考えると膝への影響も生み出してしまいます。(上行性運動連鎖)
後脛骨筋の機能が低下するとどうなるのか?
どのようにエクササイズすればいいのか?
この辺りが網羅的に理解できるように進めていきます。
では始めていきます!
足関節運動学の改訂
後脛骨筋により先に、足関節の運動学について再度認識しておく必要があります。後脛骨筋の作用として、足関節がどのように動くのかを理解するには、前提知識が重要になります。
改訂があった部分は「回内回外」「内がえし外がえし」です。
内がえし・外がえしは水平面の運動になります。
回内は背屈・外転・外がえし、回外は底屈・内転・内がえしとなるので、復習しておきましょう。
私自身も間違えてしまうこともありますが、一緒に学んでいきましょう。
では本題になります。
後脛骨筋
解剖
腓腹筋の深層にあり、長趾屈筋と長母趾屈筋とともに下腿の筋群を形成しているのが後脛骨筋になります。
下腿骨間膜を起始としているため、牽引ストレスが生じやすく内側脛骨ストレス症候群(MTSS)を引き起こしてしまう可能性があります。
後脛骨筋は、付着部や機能がとても重要な筋肉です。
停止部のバリエーション
付着部には個人差があり、舟状骨や内側楔状骨、第2-4中足骨底などにつきますが、主に舟状骨粗面に付着すると報告されています。
内側楔状骨や中足骨底への付着は、サブ的な要素であると言われていますが、複数の付着も持っていることが足部安定の機能には重要です。
長腓骨筋との関係
後脛骨筋は足底に回り込むように停止するため、足底部で長腓骨筋と交わるようになります。
長腓骨筋は内側楔状骨や第1中足骨に付着するため、母趾側に停止します。
詳しくはこちらを見てください↓
クロスサポートメカニズム
その機能のことをクロスサポートメカニズムと言います。
後脛骨筋と長腓骨筋が協調的に活動することで、後足部を安定させます。
内側縦アーチなどは中足部の安定に関わってきますが、踵骨の外反などは後脛骨筋の役割が必要です。
後脛骨筋の機能を含めて長腓骨筋もチェックしておきましょう。
機能
後脛骨筋は、舟状骨粗面や内側楔状骨に付着しているため内側縦アーチの安定に作用します。
後脛骨筋の機能低下は、後天性の扁平足に進行していく可能性が高くなるので、内側縦アーチの評価や治療選択は、考えていかないといけません。
評価方法
片脚ヒールレイズが最も信頼できる評価方法とされています。
上記のような所見が確認できると後脛骨筋の機能不全が考えられます。
小趾球荷重が優位になることは長腓骨筋の機能低下になるため、ヒールレイズは運動療法を展開していくに必要な評価方法になります。
後脛骨筋機能不全(PTTD)
後脛骨筋腱の疼痛や炎症があることで、後脛骨筋の筋力低下が生じます。
後脛骨筋や腱自体の支持性が低下することで、足部靱帯や関節包の支持性が低下し、扁平足変形に影響するようになります。
疼痛や炎症
↓
後脛骨筋筋力低下
↓
軟部組織の支持性低下
↓
靱帯や関節包の支持性低下
↓
扁平足
機能不全が生じないようにしていくことが臨床的にも障害予防的にも重要になります。
特徴
後脛骨筋の機能不全があると、以下のような特徴が確認できます。
よく臨床で確認できる足関節背屈制限は、距骨が内旋することで背屈時に後方への移動が少なくなり、前方が詰まってしまう運動学の異常があります。それに加えて長母趾屈筋の硬さがあるとさらに距骨の後方移動の制限になるので、より背屈制限が生じてしまいます。
このような背屈制限があると、前足部が外転位に位置しやすくなります。
上記の所見を確認するようにしましょう。
ここからは後脛骨筋の運動療法について共有していきましょう。
では後脛骨筋が重要であることは十分に理解できたと思いますが、どのように運動療法を展開していけばいいのか?
考えられる運動療法は、3つあります。
それは...
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